ほかにも花房医師は、化粧品の2つの“うたい文句”に注意喚起します。1つめは「自然派化粧品」とのこと。

「現在の日本の基準では、ほんのわずかでも自然の成分を使っていれば、『自然派』を名乗れてしまいます。実は、合成の化粧品とほとんど成分が変わらないものも少なくないのです。
また、『天然だから刺激が少ない』と考えるのも早計です。自然界を見渡してみれば、うるしなどのようにかぶれやすいもの、刺激の強いものがたくさんあります。そのままでは人体に害を及ぼす危険があるため、有効な成分だけを科学的に合成するなど、考えてつくられているものも数多くあるのです。
肌が敏感で、荒れたりかぶれやすい人は、無香料のものを。そして、アレルギーなどを起こす可能性がある、防腐剤や合成界面活性剤などを含む『旧表示指定成分』を除いた化粧品を選ぶようにしましょう。
ただし、厚生労働省により表示指定成分が定められたのは、1980年。その後、新しく登場した成分もありますので、肌トラブルが収まらないときは、どんな成分に反応しているのか、皮膚科で確認することをオススメします」
2つめの成分は、「幹細胞」とのことです。

「幹細胞とは、自ら細胞分裂によって増殖し(自己複製)、さまざまな機能を果たす組織細胞に分化する能力を持つ、すべての多細胞生物に存在する細胞を意味します。胚性幹細胞(ES細胞)、成体幹細胞、iPS細胞などであれば、どれか1種類は聞いたことがあるのではないでしょうか。
幹細胞は『生きている細胞』であるため、販売するためには再生医療法の許可が必要ですし、販売すること自体が違法です。ですから『幹細胞由来(あるいは配合)』と謳っている化粧品には、幹細胞そのものが入ってはいないのです。そもそも幹細胞は皮膚を通過できないうえに、通過したとしても拒絶反応を起こして皮膚から排除されるだけ。『幹細胞』というキャッチフレーズには注意してください」