「読モあがりのくせに」陰口にめげず、転身したアラサー女性の話
ライターの高木沙織です。20代後半、某ファッション誌の読モ(読者モデル)をしていた私の話も今回が最終話。
期間としては3~4年くらい細々と、ごくたまに撮影に呼んでもらえるような読モだったけれど、この肩書があったおかげで未経験でありながらライターの仕事に就けたといっても過言ではありません。
話は今から10年前にさかのぼります。
某大人向けファッション誌の読モにと声をかけてもらったときの私はまだ航空会社の地上職員をしていたのだけど、何年も前から転職のことを考えるようになっていました。
仕事は好き。でも、時間と場所に縛られすぎたこと、体力に自信がなくなってきたこと。抜けない疲労?ストレスから扁桃腺の腫れと高熱を頻繁に繰り返すようになってきていて、この先ずっと続けていける仕事ではないな、と考えるようになった5年目くらいでしょうか。
子どもの頃から本を読むのが大好きだった私は「書くことに関わる仕事に就きたい」と強く思うようになったのです。
『SEX and the CITY』にドハマリしていた時期でもあり、主人公のひとり?キャリーのようなコラムニストの仕事に憧れを抱いていたというミーハー心がちょっとだけあったのはここだけの話。いや、ニューヨークへひとり旅をしたときに聖地巡礼とばかりにロケ地まで行ってしまったくらいだから“ちょっと”どころのミーハー心ではなかったのかもしれません。
そんなとき、たまたま読モをやらせてもらえることになったのだけどこれは本当に偶然の出来事。で、読モをすることで出版社や編集部の仕事を知ることができるだろう、あわよくば求人募集が出たらいち早く応募できるかもしれないという気持ちでいたわけです。
その日は思っていたよりも早くやってきました。ある冬服の撮影のとき。担当のライターAさんが私が着ているコートの襟を直しながら……
「今ね、〇〇(読モをしていた雑誌名)の仕事のほかにウェブ媒体で書く仕事も始めたんだ」
「ウェブ媒体? ネットで読める記事のことですか?」
「うん、こういうのまだあまりないよね。ライターも5人くらいでまわしてるから記事本数が足りなくて大変だよ」
「そうなんですね、書く仕事っていろいろあるんですね」
そんな話しをしながら(あ、私ここで書く!)、“書きたい”ではなくて書くというなぞの確信めいたものがあって、多分ここで運命の出会い「ビビッときた」を使い果たしてしまったのだと思います。後にも先にもこれほどのビビッとは感じたことがない、それくらいの衝撃だったから。
体力的に仕事がキツくなり、転職を考えるように
読モの撮影現場で運命の出会いが
